コロナ第2波で株価に影響はあるのか?
著者 charttrader編集部 |
コロナ第2波で株式相場は影響を受けているのか?
2020年2月から世界的にコロナ暴落が発生したが、3月20日頃に底をついた。その後は、世界のコロナ対策および回復への期待から世界中の相場は上昇の一途をたどった。
6月上旬に極度の過熱感から一度急落をしているが、下降トレンドへ転換するほどの力はなく、1ヶ月以上横ばいが続いている。市場参加者は資金の移動先の判断材料がなく動けずにいるようだ。
最近コロナの第2波に入ったといったニュースが聞こえてくるが、日本やアメリカとは異なり世界全体で見れば、第2波などではなく、継続して感染拡大しており、さらに言えば、6月中旬以降、感染が加速している。「増加している」と「加速している」とでは感染者累計の将来予測は大きく変わってくる。
日本の株式相場は、国内経済状況やアメリカ経済だけでなく、世界全体の経済動向にも大きく左右されていることを考えれば、6月中旬以降の株価横ばいの状況は、世界経済の見通しがより不明瞭になったことが影響していると言えるだろう。
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実際に上のチャートを見てもらえれば分かると思うが、6月中旬からの伸び悩んでいる日経の背景には、世界的なコロナ感染者数の『加速』があると言える。
3月後半から6月初めまでは、一定の角度で感染者数が増えている。これは増加はしているが、ある意味で想定できる範囲内に収まっていると言える。あと少し増加を抑えれば収束に向かうことが可能となるという段階であった。だからこそ、世界経済は、各国のコロナ経済対策による緩和に後押しされて、上昇を続けたとみることができる。
日本におけるコロナ第2波を第1波と比較してみる
下の図は、日本国内のコロナ感染者数と日経(1321の日経ETF)である。
今まさに、第2波が来ていることは感染者数の増加推移から見ても明らかであり、第1波よりも急激な増加である。4月7日の緊急事態宣言が第1波の初期にあたるが、そこから株価は上昇している。ここに起因する材料としては、日銀のETF買い入れが前日より上昇していても実施するといったイレギュラーもあるだろう。東証1部の出来高が4兆~6兆円だった3月から比べ2兆円台に減っている時期での日銀ETF買い入れだったのでその影響度合いも濃くなっている。
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では、日本のコロナ感染者数に見るコロナ第2波は、どうかと言えば、チャートを見る限り、無反応である。7月に入り感染者数が東京では最高を記録するようになってきていても、反応することなく横ばいである。
東証一部の出来高が1兆円台と閑散相場となることもあるぐらい小さな商いで、動きが無い状態である。
日本市場は日本のコロナ第2波には注目していないことが分かる。
今後さらなる爆発的な増加があればどうなるかと言えば、それに伴う緊急事態宣言発動や追加の経済施策の内容によって影響があると思われるが、財政への影響も考えると前回以上となる期待大の打ち手は望みにくく、株価の急激な押上要因にはならないだろう。逆に、高値圏にある株価が、実体経済離れをしていることの数字的な表れと共に市場が織り込み始め、何かをきっかけに暴落する可能性の方がイメージしやすいだろう。
アメリカは、日本以上のコロナ第2波が押し寄せているが、株価は上向き。11月大統領選挙へ注目が向いている。
日本の株式市場はアメリカ経済、アメリカ株式市場の影響を多大に受けている。
そこで、アメリカのコロナ感染者数、コロナ第2波のタイミングやその度合いを下のチャートで見てみる。株価はNYダウ(1546のNYダウ連動ETF)を示し、NYダウとコロナ第2波の比較をしている。
日本の第2波よりもアメリカの方が、より大きな波であることが分かる。感染者増加数の変化率は日本の方が大きいが、アメリカは”安定”して上昇が加速している。決して良い意味ではなく、着実に悪化していると言える。
しかし、感染者数拡大とは無縁と言わんばかりの株価の推移である。上昇トレンドとまでは言えないが、底堅さを見せつつ以前のNYダウのような安値切り上げをしながらの推移である。NYダウの値動きは混乱から脱却し右肩上がりだった以前の動きに戻っているようにも感じる。
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アメリカのNYダウは、アメリカ国内のコロナ感染者数の増加に対しては多少の重しとはなっているだろうが、気にしていないといったことがうかがい知れる。
我々もそうだが感染者数増加のニュースを聞いても「またか」という程度で日々の生活においても大きな変化があるわけではない。今、アメリカの相場は世界的なコロナ感染者数の拡大には意識を持ちながらも、次なる大きな変化が起こりうるイベントとして11月に控えているアメリカ大統領選をにらんでいるだろう。
前回2016年の大統領選の時同様に、今回もトランプ氏のほうが不利な状況である。しかし、そこからの大逆転を経験していることから今回は大逆転に張る参加者も必ず出てくる。そうなればトランプ氏が勝ったとしても前回のような大荒れにはならないだろう。逆に参加者がトランプ氏の再選というサプライズに大きく張っていた場合、バイデン氏が勝った場合の反動の方が大きく出る可能性がある。
コロナ第2波による日本国内の緊張の高まりはあるが、既に市場は違う材料を見に行っていると言えるだろう。
この記事の著者
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