公開 2020/08/31 / 最終更新 2020/08/31

世界の投資マネーはどこへ?金、NASDAQ、マザーズに集中する投資家たち

2020年8月。コロナショックから半年弱。世界中の投資マネーは、どこに集中しているのか?
著者
charttrader編集部

世界中の資金は今年どのように動いたのか。
そして2020年年末に向けて集中される資産は何なのか。
2020年前半を振り返りながら世界の投資マネーの動きをひも解く。

2020年、圧倒的な値上がりは、「金(ゴールド)」

チャートトレーダー(ChartTrader):株式・債権・不動産・金・原油の比較チャート
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※各資産の指数は、対象資産に連動するETFの価格を基にしています。

2020年は3月を大底とする全資産暴落となったコロナショック。
原油、不動産、株式の下げが特に大きかったが、その後8月までの間に、世界的に株価は戻ってきている。

そして、圧倒的に上昇したのは、圧倒的に「金(ゴールド)」である。
年初より28%近くも上昇している。
世界すべての金を合わせた時価総額は約300~400兆増加しと言える。

2020年8月7日頃がピークとなっているが、
面白いことに、ニュース記事を見ると、ピーク前後に金の記事が出ている。

例えば

  • 2020/8/6 9:26 日刊ゲンダイDIGITAL
    ~過去最高値2000ドル突破 “安全資産”の金「先高観は強い」~
  • 2020/8/6 11:00 東洋経済オンライン
    ~金価格はいったいどこまで上昇するのか? 1トロイオンス=2000ドル台はもはや通過点か~
  • 2020/8/7 13:20 読売新聞オンライン
    ~金価格高騰、初の1g=7032円…「当面高値圏で推移」~
  • 2020/8/6 10:31 JIJI Financial Solutions
    ~〔金先物情報〕急上昇で高値警戒感=連日の最高値更新、一時2070ドル~

警戒感を訴える記事もあるが、まだまだ上がると言った記事が多い事が分かる。一般大衆の目に触れるニュースが出た時が山というが、今回の金相場もその傾向はあったのだろう。

とはいえ、「安全資産」と言える金(ゴールド)に資金が流れていることは明確である。

 

実物資産の「不動産」は、コロナショックで安全資産ではなくなった。

資金が急激に回収され時価総額が目減りしたのは、「原油」と「不動産(REIT・リート)」だろう。
共に、コロナショックで落ち込んでから、多少は回復したものの以前のレベルまでは程遠い状況となっている。

原油は、元々値動が大きいため安全資産というポジションではない。
世界経済停滞による原油需要減衰だけでなく、地政学的な理由も加わる為、価格変動は大きく、
4月20日頃に史上初となる先物価格がマイナスになるという事象まで発生している。

対して、不動産は、実物資産であり金(ゴールド)となる安全資産の位置付けである。
しかし、金(ゴールド)とは大きく異なる資産推移となった。

不動産は、コロナショック後の6月8日に高値を付けている。
これは、先進国におけるコロナ解除やコロナ政策を受けて回復の見通しが市場に広がったためであろう。

しかし、その後の8月31日時点でも、ピークを越えることはできていない

株式とは異なり、世界的な金余りだからと言って、
世界経済回復の目途が立たない中では資金流入がないと言える。

それでも世界的な移動が解禁される目途が立たない限り、
その他の資産より値上がりが見込めないだろう。

また、想像に難くないが、国債・社債は比較的安定推移をしている。
コロナ過においても米国債が強いことが分かる。

世界経済に大きな打撃で、アメリカの傷が決して浅くなかったとしても、
結局m世界で最も経済の力のあるアメリカに資産は戻りやすいということだ。

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投資マネーは「先進国株式」、特に「NASDAQ」に集中している

年初来では、金(ゴールド)に資金流入しているが、8/7をピークに落ち込んでいる。

では今、世界中の投資マネーはどこに流れているのか。

それは、コロナショックから回復し、
2019年末の価格を既に上回っている「先進国株式」である。

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先進国株式といっても、日本株式やユーロ株式ではなく、アメリカである。

日本やユーロも、コロナショックの大底からは奇跡的な回復をしてきている。

しかし、昨年末の価格までは戻しておらず、年初来高値はまだまだ上に位置している。

アメリカの株式と言っても、NYダウではない。

NYダウですら年初価格を上回っていない状況であるが、
中小企業・ベンチャーが多く上場している「NASDAQ」だけが群を抜いて伸びている。

NASDAQは、
マイクロソフトなどのハイテク関連企業や、グーグルなどのインターネット関連企業が、
数多く上場しており、まさにテクノロジー関連への資産流入が今まさに起きている。

NASDAQは2019年末から25%も上昇しており、年初来高値も更新し続けている。

コロナは世界経済の混乱を引き起こしたが、
ハイテク企業にとっては収益増大をもたらすきっかけとなっている。

 

日本ではマザーズ市場での投資が盛り上がっている

日本ではどうであろうか。

チャートトレーダー(ChartTrader):日経平均・TOPIX・マザーズ・JASDAQ等の日本株式の比較チャート
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日経平均やTOPIXも、3月よりは上昇してきおり、コロナ前に戻りつつあるが、
今、最も伸びているのは「マザーズ」である。

アメリカのNASDAQが伸びているのと同様に、
中小企業やベンチャー企業などの新興企業320社程度が上場し、個人投資家が好む市場である。

アメリカのハイテク企業だけでなく、日本のハイテク企業にも、国内外からの投資マネーが投下されていると聞けば、納得である。

しかし、マザーズは、NASDAQ同様に安定・堅実に上昇しているわけではない。

直近8月後半に、NASDAQ上昇にもかかわらず、
同様の特色を持つ企業群であるマザーズは反落している。

この反落の予兆を掴むとすれば、
世界の資金が流入しているNASDAQに比べて、ハイスピードで急激な上昇をしている点に気付くことである。

チャート図の黒四角の枠で囲った箇所を見ると、
明らかに、NASDAQ(緑の線)よりも、マザーズ(赤の線)の上昇の角度の方がきつい

急激に上昇すれば調整はどうしても発生する。

つまり、世界の資金の動き以上に速いスピードで個人投資家を含めて期待先行のマザーズ市場への投資が行われたため、価格が上振れし、結果として調整という流れをたどったのだろう

今、世界的な投資マネーの移動が起こる中、最も注目されるハイテク企業への投資では、NASDAQの動きとのチャートによる重ね合わせが状況分析には必要だと思う。

 


この記事の著者

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読み解くことが難しいと捉えられがちな投資情報を、チャートという視覚情報(ビジュアル)に変換することで、より直感的に、より分かりやすく、伝えることをChartTrader(チャートトレーダー)は目指しています。 個人投資家にとって必要不可欠な投資リテラシー「重要な情報への嗅覚」を磨くための肥やしとなる情報を発信していきます。 ChartTraderの提供会社テラスは、国内最大のトレードシステム販売サイトの運営やストラテジークリエーター、自動売買システム開発者、テクニカルアナリストなどを多数抱えたシステムトレード専門企業です。


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