6月以降、日経平均が動かないのはなぜ?裏で、投機筋・ファンドの先物買い。[2020年9月]
著者 charttrader編集部 |
6月以降株価は動いておらず、3ヶ月間持ち合い相場
2020年6月9日から9月11日までの赤枠内、日経平均の株価を見ると23000円ラインを上限に右往左往しているこ。方向感は見られず、全体の相場観としては高値警戒という状況で足踏みをしている。
上のチャートの「青い線:外国人投資家」、「緑の線:個人投資家」の売買代金(株式と先物合算)売買代金の推移を示している。
どちらも買ったり、売ったりしていることが分かる。
株・先物を買っているのは、外国人、個人投資家だけではない。この日経が横ばいを続け、動かない相場ではいったい誰が買っていたのだろうか?
それは、自己計部門である。
日銀の一手買い
自己計部門とは、日銀によるETF買い入れを映していると言われているが、実際に日銀のETF買い入れはこの期間で約1.6兆円の規模で実施している。上記グラフとは数字のずれがあるのは、自己計本来の意味「証券会社が顧客の為ではなく、自らの為に売買をしている金額」が加わるからであろう。
証券会社が顧客の為ではなく、自らの為に「売り」を仕掛けていたことも読み取れる。
つまり、日銀の一手買いの相場だったとなる。
しかし、多くの市場参加者が売りに回っていたかというと、そうではなく、投資信託以外は大きな動きはなく、様子を見ている、もしくはその時々の状況から買い売りポジションをこまめに変動しながらも詳細の株価予想はできずにいる。
海外投資家は、徹底的に「株式」を売っている
東証一部の株式の買い越し/売り越し金額の推移であるが、約1兆円程度売り越してきている。
新型コロナウィルス拡大前に買い漁っていた株式をまだ処理しているということである。
日本株を見捨てて他の資産、より安全で将来的な伸びが望める資産、へと移動をさせている。
※以前の記事「世界の投資マネーはどこへ?金、NASDAQ、マザーズに集中する投資家たち」参照。
保有している株式を処分して決済しているのは、空売り比率が低下している(=現物の決済の割合が多い)こととも合致している。
海外投資家は株式を売り、日本相場に下げ圧力を与えているだけではない。
海外投資家は、「先物」を買っている
東証一部の株式を売っているのとは、逆に、日経・TOPIX関連に連動する先物は、大幅に買い越している。
株式を売っている金額とほぼ同額となる先物を買っている。
株式と先物を同じ投資家が売買をしていることも考えられるが、裁定取引の売り残は減少傾向にあることを考えるとその可能性は低いだろう。
※プログラム売買の裁定売り残/買い残チャートはチャートトレーダーで見ることができます。
今起きていることは、コロナ前に日本企業に投資を行っていた機関投資家が、その将来性、もしくはグローバルにみた様々なな投資先との相対的な価値が見いだせなくなってきているため、利益確定をして処理を進めている。損切りでの決済処理の場合もあるが23000円前後の価格を考えれば大きな損切りではないと言える。
そして、異なる投資家は、日銀が買い続ける日本株に対して、いつでも流動的に売り抜けることができる「先物」の方を、買い越し続けてきている。裁定売り残が減少しているということは、対応した先物の買いポジションも決済されていることになる。それにもかかわらず大幅な「先物」の買いは、投機筋・ファンドによるものと考えられる。
実際、海外の市場での日経225先物を投機筋・ファンドは買ってきている。
※COTレポートCME日経先物ポジションチャートはチャートトレーダーで見ることができます。
アメリカの大統領選や日本の政治的動き、世界的な金余りなどから日経平均は、短期的にはまだまだ上がるとい投機筋・ファンドは考えているのだろう。その先には先物の売り決済へと繋がるため、短期的上昇の後に下落を強めることになることも忘れてはいけない。
この記事の著者
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