日経平均2800円上昇にもかかわらず売ったのは「個人」と「投資信託」
著者 charttrader編集部 |
日経平均が+2800円の暴騰した期間、売りに回ったのは「個人」と「投資信託」
2020年5月7日~7月3日の週の現物株式と先物(日経、TOPIX関連)合算の取引状況を集計してみると、「個人投資家部門」と「投資信託部門」だけが売り越している。
約2ヶ月で+2800円という急激な上昇トレンドにおいて、個人投資家はやはり今回も「逆張り」で仕掛けている。日経平均が22000円台を付けている現時点では、個人投資家部門は大きく負けている、もしくは大きな含み益を抱えていることになる。
海外投資家の買い上げによる急騰と思いがちだが、実際には日銀のETF買い入れや事業法人、そして、金融機関も買っており、個人と投資信託以外の部門は全て、上昇トレンドに寄与していたわけだ。
個人投資家の売り越し金額は2740億だが、それ以上に投資信託の売りが大きい。
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「投資信託部門」とは、投信法に規定された投資信託委託会社のことであり、投資信託を設定して、投資家から集めた資金を運用する会社のこと。
その投資信託が売ったというのは、投資信託の運用担当者であるファンド・マネージャーが、設定されているファンドの運用方針に基づき売ったということです。
様々なファンドがありますが、例えば、日経平均に連動するファンド(野村インデックスファンド-日経225など)は日経と連動するように運用する方針のなので、日経が上昇すれば、買うことになるでしょう。
ですが、今回はその逆となる売買となっています。
つまり、日経が上昇すれば逆の売りを仕掛けるという運用方針の投資信託が多いと言えます。
もちろんJ-REITや債券、外国株式、新興国債権、為替ファンドなど多種多様なタイプがあるので日経平均に逆連動させるという運用方針ではありませんが、全体の傾向として表れています。
下のチャートは投資信託の売買動向を直近の4年間(2016年6月~2020年7月)で示しています。
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逆相関をしていると言っても間違いではなさそうですね。投資信託運用会社が設定している運用方針というのは日経の逆張りで個人投資家のスタンスと似ています。実際、チャートトレーダーで個人投資家と投資信託の売買チャートを重ねてみるとほとんど同じ波形となります。
株式へ投資するタイプの投資信託は全体の40%程度(世界の投資信託残高構成比より)。コロナ過など、リスクオフ相場では株式からより安全資産といえる債券などへの移動が行われると想像されやすいのですが、国内の投資信託では逆のフローが起きているます。
投資信託の解約などの影響もあると思いますが、個人投資家の逆張りの動きだけでなく、それ以上に大きなインパクトを持つ第二の個人投資家ともいえる投資信託の動きにも注目しておくと、相場の全体的なトレンドを把握することができるのではないでしょうか。
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