日本とアメリカの個人投資家の違い。逆張りスタイルは日本だけ?
著者 charttrader編集部 |
日本の個人投資家と、アメリカの個人投資家の投資スタイルに違いはあるのか?
個人投資家は孤独とも言われ、自分以外のトレーダーと関わりは少なく、投資スタイルの確立は自身の経験や書籍やネットなどからの情報からというケースが多いのではないでしょうか。
日本の株式市場では、海外投資家の売買代金は半分以上を占め、彼らが動かなければ相場が動かないほど、順張りをメインとした外国勢が主役のマーケットです。
海外勢の順張りに対して、日本の個人投資家は逆張りスタイルと言われ、上昇局面では売りに回り、下落局面では買いに回ることが多いようです。「指値をして相場が下がるのを待つ」というトレードをしたことがある個人投資家も多いのではないでしょうか。
2020年2月頃から世界で猛威を振るっている新型コロナウィルス感染拡大による相場変動期における、需給に関する情報を元に調べてみます。世界的に同じ事象(コロナショック)により相場が動いたため、相場を取り囲む環境としては類似性が高いと判断できます。同様の事象が起きた際に個人投資家はどのようなトレードするのかが浮き彫りになります。
では、早速日本の個人投資家と米国の個人投資家(小口投資家)の需給・ポジション状況を比較してみます。
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日本の個人投資家は、あくまで逆張り戦略一筋
2020年2月からのコロナショックで日経平均(チャートは1321:日経ETF)が暴落する中、個人投資家は毎週買い続けています(東証一部株式と先物[日経先物、TOPIX先物、JPX400先物])。具体的には、2020年2月10日から3月19日までの6週間連続買い越しで合計で約1.7兆円。
まさに、日本の個人投資家が「逆張りスタイル」と言われるゆえんが表れています。
6週連続で買い越していますが、その後2ヶ月以内に利益がでているのは最後の2週間(3月10日~19日)に買った個人投資家だけでしょう。「安く買って高く売る」という投資の格言を指値という注文で実践していると言えます。
米国の個人投資家はプロと同じ順張りが基本
比較するのは米国のインデックス「S&P500」の先物の個人投資家(小口投資家)のポジション情報。
先の日経と同じ期間で比較すると、S&P500(チャートは1557:時価総額世界一のSPDR S&P500 ETF)が暴落する中、ロングポジション(買い)を増やすタイミングもありますが、期間全体では、大きく売り方に回っていることが分かります。チャートの単位は先物の枚数なので規模を単純比較することはできませんし、個人投資家・小口投資家の区分/カウントの定義も同じではないので、ズレはあるでしょう。
ただ、それでも明らかに世界同時暴落時に、個人投資家の仕掛け方向が真逆です。
米国の個人投資家は順張り一筋ではなく、利益に貪欲
日本の個人投資家で3月10日~19日の期間に買い向かった人たちは、利益がでていると言いましたが、米国の個人投資家の成績はどうなるでしょうか。
暴落時に売りポジションを増やしているいうのが全体としての方向なのですが、実は日本の個人投資家が利益を上げられた買いの時期と同時期である3月11日~24日に、米国の個人投資家もしっかり買いポジションを増やしていたのです。
暴落時に単純に売るだけではなく、大底のポイントでしっかりと買いを仕掛けているというプロ顔負けのポジションワーク。米国の先物小口投資家は、イメージをしているような一般市民ではなくもう少し投資経験のある投資家なのかもしれません。
この記事の著者
charttrader編集部 |
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